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白内障進行抑制点眼薬|カタリン・カリーユニ・タチオンの実際を眼科専門医が解説

監修: 眼科ひろば編集部(眼科専門医監修)
公開: 更新: 最終監修:

「白内障の点眼を出されたけど、本当に効くの?」「目薬で白内障が治るって聞いたけれど…」――白内障の点眼薬については、患者さんから最も誤解されやすい質問の一つです。

結論から申し上げると、現時点で白内障を「治す」点眼薬は存在しません。市販のものも処方されるものも、いずれも 「進行を遅らせる(可能性がある)」 ことを目的とした補助的なお薬です。視力を回復させる根本治療は、手術のみです。

このページでは、患者さんからよくいただくご質問にお答えする形で、白内障進行抑制点眼薬の実際と限界を整理してご説明します。

白内障そのものの解説は 白内障の解説ページ、根本治療の手術は 白内障手術の解説 をご覧ください。

白内障進行抑制点眼薬とは

白内障は、目の中でカメラのレンズの役割を果たす 水晶体 のタンパク質が変性して濁る病気です。これは加齢に伴う変化が主因で、いったん濁った水晶体は 点眼薬では透明には戻りません

そんな中、「濁りが進むのを少しでも遅らせよう」という目的で開発されたのが、進行抑制点眼薬です。

主な作用機序

薬の系統想定される作用
ピレノキシン(カタリン、カリーユニ)水晶体タンパク質の変性を起こす「キノイド物質」をブロック
グルタチオン(タチオン)水晶体内の還元型グルタチオンを補充、抗酸化作用

これらの作用は 理論的な仕組み であり、現実に大きな進行抑制効果があるかどうかは、はっきりした証拠がありません。

主な進行抑制点眼薬の種類

ピレノキシン製剤(カタリン・カリーユニ)

最も多く処方される、ピレノキシンを成分とする点眼薬です。

代表的な薬剤:

商品名一般名用法備考
カタリン点眼ピレノキシン1日3〜5回使用時に2剤を混合して調製(本剤+専用溶解液)
カタリンK点眼ピレノキシン+ヨウ素1日3〜5回ヨウ素配合バージョン
カリーユニ点眼ピレノキシン1日3〜5回用時調製が不要、白色の懸濁液

白いカプセルを溶かして使う目薬」が、カタリンの特徴的な使い方です。

グルタチオン製剤(タチオン)

商品名一般名用法備考
タチオン点眼グルタチオン1日3〜5回用時調製、無色透明

タチオンも調製式の点眼薬です。

その他

商品名区分備考
OTCの白内障目薬(ロート、参天など)一般用医薬品処方薬とほぼ同成分(ピレノキシン)を含むものあり

適応:こんな方に処方される

進行抑制点眼が不要なケース

もう手術しか視力は戻せない」段階では、進行抑制点眼を続けるより、手術を検討する方が現実的です。

効果の実際(正直なお話)

進行抑制点眼薬については、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。

期待できる効果

期待できないこと

日本眼科学会のガイドラインでも「広く処方されているが、明確な有効性のエビデンスは限定的」とされています。海外では、こうした進行抑制点眼薬を 「効果が不明確」として使用しない国 も多くあります。

では、なぜ処方されるのか?

害はないが、過度な期待もしない」が現実的な向き合い方です。

副作用・注意点

進行抑制点眼薬は、副作用が極めて少ない お薬です。

長期使用も比較的安全で、緑内障点眼やステロイドのような重大な副作用はほぼありません。

正しい使い方

カタリン点眼の調製方法

  1. 本剤(白いカプセル)を専用溶解液のボトルに入れる
  2. カプセルが溶けるまで振り混ぜる
  3. 冷暗所で保管、約3〜4週間以内に使い切る
  4. 使用前に軽く振ってから点眼

カリーユニ・タチオンの使い方

点眼の基本

  1. 手を洗う
  2. 顔を上向きに、または横向きに
  3. 下まぶたを引き下げて、1滴を眼に
  4. 目を閉じて1〜2分
  5. 複数の点眼を使う場合は5分以上間隔

費用の目安

保険適用 です。3割負担の方の場合:

費用負担はかなり軽いお薬と言えます。

メリットとデメリット

メリット副作用が極めて少ない / 保険適用で安価 / 安心感がある / 経過観察の動機
デメリット効果が科学的に十分には証明されていない / 視力回復はしない / 手術回避の保証はない

よくある質問

Q. 白内障の点眼を続ければ手術せずに済みますか?

A. 保証はありません。点眼で進行を遅らせる効果があるかどうかも科学的には不明確で、根本的な治療にはなりません。多くの方は、いずれは手術が必要になります。「進行を少し緩やかにできるかもしれない補助薬」とご理解ください。

Q. カタリン点眼の白いカプセルって何ですか?

A. ピレノキシンの本剤 です。安定性のため、使用前に専用の溶解液と混ぜて使います。混ぜた後の薬液は 3〜4週間以内に使い切る 必要があります。冷暗所(冷蔵庫など)で保管してください。

Q. 市販の白内障目薬と病院処方のもの、違いはありますか?

A. 成分はほぼ同じ(ピレノキシン)ものが多いです。処方薬の方が成分濃度が高い傾向があり、医師の管理下で使う安全性のメリットがあります。「自己判断で市販品を続けるより、定期的に眼科を受診しながら処方薬を使う」方が、白内障の進行管理という意味では確実です。

Q. 進行抑制点眼を続けながら、いつ手術を検討すべき?

A. 「日常生活に支障が出てきたとき」が手術検討のタイミングです。点眼を続けながら、年1〜2回の眼科チェックで進行を確認していきましょう。視力 0.7 を切る、夜間運転がつらい、メガネを変えても改善しない、といったサインで手術相談を。

Q. 副作用はありませんか?

A. 副作用は極めて少ない お薬です。点眼時にしみる、軽い結膜の赤みが出る程度。重大な副作用の報告はほとんどありません。

Q. 点眼を始めても進行が止まらないようです。やめてもよい?

A. 進行抑制点眼の 効果は限定的なので、止めても急に悪くなることはありません。担当医と相談の上で判断してください。手術を検討する段階に来ているなら、点眼にこだわるより手術の準備を進める方が良いこともあります。

Q. サプリメント(ルテイン等)と点眼、どちらが効きますか?

A. 両方とも科学的なエビデンスは限定的 です。サプリメントは加齢黄斑変性に対する一部のエビデンス(AREDS2)はありますが、白内障に対する明確な効果は証明されていません。「害がないなら続けても構わない」程度のスタンスが妥当です。


白内障進行抑制点眼薬は、「副作用は少ないが、効果も控えめ」 な、補助的な治療です。「目薬で白内障が治る」という誤解を抱かれている方も多いのですが、根本治療は手術のみ という事実は変わりません。

進行抑制点眼を続けながら、定期的な眼科受診で進行を確認し、生活に支障が出てきたら手術を検討する――そういうステップで白内障と長く付き合っていただければと思います。

詳しくは 白内障の解説ページ白内障手術の解説多焦点眼内レンズ もあわせてご覧ください。