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緑内障点眼薬|種類・作用・副作用・正しい使い方を眼科専門医が解説

監修: 眼科ひろば編集部(眼科専門医監修)
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「緑内障の点眼薬を一生続けると言われた」「副作用が心配」「種類が多すぎて分からない」――こうしたお悩みを抱える患者さんは少なくありません。

緑内障の治療の主役は、眼圧を下げる点眼薬 です。現在は作用機序の異なる薬剤が6グループ以上あり、患者さんの状態や副作用の出方を見ながら、組み合わせて使うのが標準です。

このページでは、患者さんからよくいただく「どの薬がよく効く?」「いつまで続けるの?」「差し忘れたらどうなる?」といったご質問にお答えする形で、緑内障点眼薬について整理してご説明します。

緑内障そのものの解説は 緑内障の解説ページ をご覧ください。

緑内障点眼薬とは

緑内障は、眼圧などが原因で 視神経が傷んで視野が欠けていく病気 です。残念ながら、失われた視野を取り戻す方法は現時点でなく、治療の目的は 「進行を止める・遅らせる」 ことです。

そのために最も効果がはっきり証明されているのが 眼圧を下げる こと。点眼薬はこれを実現する第一選択の治療です。

緑内障点眼薬は、作用機序から大きく次の6グループに分けられます。

種類主な働き主な副作用
プロスタグランジン関連薬(PG)房水の流出促進まつ毛が長くなる、目の周りの色素沈着、虹彩の色変化
β遮断薬房水産生抑制気管支ぜんそく悪化、徐脈
α2刺激薬房水産生抑制 + 流出促進眠気、口渇、結膜炎
炭酸脱水素酵素阻害薬(CAI)房水産生抑制しみる、味覚異常
Rhoキナーゼ阻害薬(ROCK)房水流出促進(別経路)結膜充血
配合点眼薬上記の組み合わせ各成分の副作用

それぞれ「目の中の水(房水)」のバランスを変えることで眼圧を下げます。蛇口を絞る(産生抑制)か、排水溝を広げる(流出促進)か、というイメージです。

各グループの特徴

1. プロスタグランジン関連薬(PG)── 第一選択

最も多く処方されている、緑内障点眼薬の主役 です。1日1回の点眼で確実な眼圧降下が期待できます。

代表的な薬剤:

商品名一般名用法備考
キサラタン(ジェネリック多数)ラタノプロスト1日1回最初に登場した代表薬。安価なジェネリックあり
トラバタンズトラボプロスト1日1回
ルミガンビマトプロスト1日1回まつ毛が特に伸びやすい傾向
タプロス / タプロスミニタフルプロスト1日1回ミニは防腐剤フリーで角膜に優しい
エイベリスオミデネパグ1日1回新機序(EP2受容体)、色素沈着・まつ毛変化が少ない

特徴的な副作用に、

があります。点眼後にすぐに目の周りを軽く拭く、洗顔時にきちんと洗うことで色素沈着はある程度防げます。

なお、オミデネパグ(エイベリス) はやや作用機序が異なり、これらの副作用が出にくいタイプです。

2. β遮断薬

古くからある定番薬で、PG と並ぶ主要選択肢です。1日1〜2回の点眼。

代表的な薬剤:

商品名一般名用法備考
チモプトール / リズモンチモロール1日2回(LA製剤は1日1回)最も使われてきたβ。ジェネリック豊富
ミケラン / ミケランLAカルテオロールLAは1日1回
ベトプティックベタキソロール1日2回β1選択的で呼吸器への影響が少なめ
ハイパジールニプラジロール1日2回α遮断作用も併せ持つ

注意点として、気管支ぜんそく・徐脈・心不全のある方は使用に制限 があります。点眼薬でも全身に吸収され、呼吸器・心臓への影響が出ることがあるためです。問診で必ず既往を医師に伝えてください。

3. α2刺激薬

PG・βで効果不十分な場合の追加薬として、または併用配合薬として広く使われます。

代表的な薬剤:

商品名一般名用法備考
アイファガンブリモニジン1日2〜3回長期使用で結膜アレルギーが出やすい

副作用としては 眠気、口渇、結膜アレルギー が知られています。長期使用で「アイファガン結膜炎」と呼ばれる結膜の慢性炎症が起きることがあり、症状があれば医師に相談を。

4. 炭酸脱水素酵素阻害薬(CAI)

房水の産生を抑える薬。単独で使うより、PGやβの追加として併用されます。

代表的な薬剤:

商品名一般名用法備考
トルソプトドルゾラミド1日3回しみる感覚あり
エイゾプトブリンゾラミド1日2〜3回白く濁る性質、しみにくい

副作用は 点眼時にしみる、苦味を感じる、結膜充血 など。比較的マイルドです。

5. Rhoキナーゼ阻害薬(ROCK)

2014年に登場した比較的新しい薬で、別の経路で房水流出を促進します。

代表的な薬剤:

商品名一般名用法備考
グラナテックリパスジル1日2回強い結膜充血が出やすい

副作用に 強い結膜充血 が出やすく、見た目で気にする方も少なくありません。ただ、通常は数時間で軽くなります。

6. 配合点眼薬

複数の作用機序を1本にまとめた製剤で、点眼回数と本数を減らせる のが大きな利点です。長期治療では、続けやすさが治療成績に直結します。

代表的な配合点眼薬:

商品名組成用法
ザラカムラタノプロスト(PG) + チモロール(β)1日1回
タプコムタフルプロスト(PG) + チモロール(β)1日1回
デュオトラバトラボプロスト(PG) + チモロール(β)1日1回
ミケルナラタノプロスト(PG) + カルテオロール(β)1日1回
コソプトドルゾラミド(CAI) + チモロール(β)1日2回
アゾルガブリンゾラミド(CAI) + チモロール(β)1日2回
アイベータブリモニジン(α2) + チモロール(β)1日2回
アイラミドブリモニジン(α2) + ブリンゾラミド(CAI)1日2回

毎日3本も差すのが大変」という方は、配合剤への変更を担当医に相談してみてください。

適応:どんな緑内障に使うか

緑内障の点眼薬は、原則 すべてのタイプの緑内障 が対象です。

眼圧が正常範囲内でも、目標値まで下げる」のが治療の考え方です。日本人の正常眼圧緑内障では、もとから低い眼圧をさらに下げる必要があります。

治療のステップ

緑内障の点眼治療は、通常次のように進みます。

段階内容
第1選択PG関連薬を1本 から開始するのが標準
第2段階効果不十分なら追加(β、α2、CAI など)
第3段階配合剤への変更(本数を減らす)
第4段階レーザー治療(SLT)・手術 を検討

目標眼圧」は患者さんごとに違い、視野の進行度・年齢・余命予測などを踏まえて、担当医が個別に設定します。「もとの眼圧から20〜30%下げる」が一般的な目安です。

副作用と注意点

局所的な副作用

全身性の副作用

点眼薬は眼の中で吸収されるだけでなく、涙とともに鼻に流れて全身に吸収される ことがあります。気になる症状があれば、必ず医師に伝えてください。

防腐剤フリー点眼

長期使用で角膜表面への影響が気になる方には、防腐剤フリー(PFタイプ) の点眼薬を選択できる場合があります。担当医に相談してみてください。

点眼の正しい使い方

緑内障点眼薬の効果を最大化するために、以下のコツを覚えておいてください。

1. 点眼の基本手順

  1. 手をきれいに洗う
  2. 顔を上向きに(または横向きに寝て)
  3. 下まぶたを軽く引き下げる
  4. 容器を眼から1〜2cm離して、1滴落とす(目に触れないように)
  5. 点眼後、目を閉じて1〜2分
  6. 目頭(涙点)を軽く指で押さえる ― 全身への薬の吸収を減らす効果あり

2. 複数の点眼を使う場合

3. 続けるコツ

症状がないから止めても大丈夫」と自己判断で中断するのが、最も多い失敗パターン です。点眼が効いているからこそ、症状が出ていないのです。

費用の目安

保険適用 です。3割負担の方の場合:

ジェネリック医薬品も多く出ており、選べる場合があります。費用が気になる方は薬剤師・医師に相談してください。

メリットとデメリット

メリット進行抑制効果が確立 / 保険適用で手軽 / 自宅で完結 / 副作用が比較的少ない
デメリット一生続ける必要(原則) / 差し忘れの問題 / 一部に全身性副作用 / 効果に個人差

よくある質問

Q. 緑内障の点眼薬は本当に一生続けないとダメ?

A. 基本的には生涯続ける治療です。緑内障は治る病気ではなく、進行を止め続ける必要があるためです。「症状がない=効いている証拠」とお考えください。中断すると数か月〜数年で進行が再開します。

Q. 差し忘れたらどうすればよい?

A. 気づいた時点ですぐに差す、もしくは 次の回まで近ければスキップして次回から再開 が基本です。2回分まとめて差すのは避けてください(全身への吸収量が増えるリスク)。

Q. 副作用が出てきました。自分でやめても良い?

A. 絶対にやめないでください。副作用がつらい場合は、他の薬への変更配合剤への切替 で改善できることが多いです。必ず眼科で相談してください。

Q. ジェネリック医薬品で効果は同じですか?

A. 基本的に同等とされています。ただし添加物の違いで点眼時の刺激感が異なることがあり、しみる感じが強い場合は先発品への変更を医師と相談してください。

Q. コンタクトレンズをしていますが、点眼できますか?

A. 基本的にはコンタクトを外してから点眼 してください。多くの点眼薬には防腐剤(ベンザルコニウム塩化物等)が含まれていて、ソフトコンタクトに吸着して角膜に影響することがあります。点眼後5〜10分待ってから装用するのが安全です。

Q. 点眼後、目の周りの色が黒ずんできました。どうすればよい?

A. PG関連薬の典型的な副作用です。点眼後すぐに目の周りを軽く拭く洗顔時にきちんと洗う ことで予防できます。すでに色素沈着がある場合は時間とともに薄くなることが多いですが、薬の変更で改善することもあります。

Q. 妊娠中・授乳中でも続けて良い?

A. 必ず眼科と産科に相談 してください。一部の点眼薬は妊娠中・授乳中の使用が推奨されないものがあります。緑内障の進行リスクと薬の影響を天秤にかけて、個別に判断します。


緑内障点眼薬は、視神経を守るために生涯続ける、地味だけれど確実な治療 です。毎日の点眼が、将来の視力を守る最大の盾になります。

「面倒だな」「効いている気がしない」と感じる日もあるかもしれませんが、症状がないことこそ効いている証拠 とお考えください。担当医と一緒に、長く付き合えるスケジュールを組み立てていきましょう。

緑内障そのものについては 緑内障の解説ページ、レーザー治療については 緑内障レーザー治療 もあわせてご覧ください。