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眼底検査|何がわかる?散瞳薬の影響は?を眼科専門医が解説

監修: 眼科ひろば編集部(眼科専門医監修)
公開: 更新: 最終監修:
目次
  1. 眼底検査とは
  2. どんな疾患の診断・管理に使われるか
  3. 検査の流れ
  4. 痛みや不快感
  5. 結果の見方
  6. 受診頻度の目安
  7. 費用の目安
  8. メリットとデメリット
  9. よくある質問

「健康診断で『眼底検査』を受けるよう言われた」「眼科で目薬をさされて、検査の後しばらく光が眩しくなった」――眼底検査は、眼科でもっとも基本的かつ重要な検査の一つです。

このページでは、患者さんからよくいただく「何がわかるの?」「散瞳薬って何?」「検査後に運転はできる?」といったご質問にお答えする形で、眼底検査について整理してご説明します。

眼底検査とは

眼底とは、目の奥にある「網膜・視神経・血管」のことです。眼底検査は、これらを 直接観察する検査 で、糖尿病・高血圧・脳血管疾患など全身の状態が反映される、人体で唯一「血管を直接見られる」検査でもあります。

種類

眼底検査には、観察方法によっていくつかの方式があります。

種類方法特徴
直像鏡(矯正版直接眼底鏡)接眼レンズで観察倍率高く、視神経乳頭を詳しく見る
倒像鏡(双眼倒像鏡)専用ヘッドギア+レンズ視野が広く、周辺部の網膜が見やすい
細隙灯顕微鏡+前置レンズ(78D/90D)細隙灯顕微鏡を使う立体観察最も詳しい所見、多くの眼科で標準
眼底カメラカメラで撮影、画像で記録経時変化の追跡に有用
広角眼底カメラ(Optos等)200度の超広角撮影、散瞳不要周辺部を含めた一度の撮影
OCT撮影断面の構造評価(別カテゴリ)詳細は OCT検査 を参照

最も多く行われるのは 細隙灯顕微鏡+前置レンズ で、眼科を受診すると標準的に行われます。健診では 眼底カメラ が多く使われます。

散瞳の有無

方法散瞳薬特徴
無散瞳眼底検査不要健診向き、中心部のみ観察
散瞳眼底検査必要(ミドリンP・ミドリンM・サイプレジンなど)周辺部まで詳しく観察できる

眼底検査=散瞳薬」とは限りません。健診のように 中心部だけを確認する場合は、散瞳しない検査(無散瞳)で済むことが多いです。一方、精密検査・緑内障・糖尿病・飛蚊症 などでは、瞳孔を広げて視野の隅々まで観察する必要があります。

どんな疾患の診断・管理に使われるか

眼底検査でわかる主な疾患は、極めて多岐にわたります。

疾患眼底検査で何を見るか
緑内障視神経乳頭の陥凹(凹み)、出血、神経線維欠損
糖尿病網膜症細い出血、白い斑点、新生血管
高血圧網膜症血管の変化、動脈硬化、出血
加齢黄斑変性黄斑下の変化、ドルーゼン、新生血管
網膜剥離剥離の範囲、裂孔の位置
網膜静脈閉塞症出血、浮腫、血管の蛇行
網膜色素変性症骨小体様色素沈着、血管の細さ
強度近視合併症後部ぶどう腫、近視性網膜変性
視神経炎・視神経症視神経乳頭の腫れ、蒼白
眼内腫瘍腫瘤、メラニン色素
脳腫瘍に伴う乳頭浮腫視神経乳頭の腫れ

特に 糖尿病・高血圧の患者さん にとって、眼底検査は「全身疾患の進行を映す鏡」のような役割を果たします。眼底の血管異常が、全身の動脈硬化の進行度を反映するためです。

検査の流れ

1. 準備

2. 検査開始

無散瞳眼底検査(健診型)

  1. 機械に顎をのせる
  2. 中央の点を見続ける
  3. ピカッと一瞬光るフラッシュ で撮影
  4. 数枚撮影して終了(片眼1〜2分)

散瞳眼底検査(精密検査型)

  1. 散瞳薬を点眼(ミドリンPなど)
  2. 20〜30分待機(瞳孔が十分に広がるまで)
  3. 細隙灯顕微鏡 or 倒像鏡で観察
  4. 必要に応じて広角撮影、OCT 等を併用
  5. 全体で30〜40分程度

3. 検査中

検査方法患者さんの感覚
無散瞳カメラフラッシュがまぶしい、その他は無感覚
細隙灯顕微鏡明るい光を当てられる、まぶしいが痛みなし
倒像鏡強い光、医師が顔の近くで観察

4. 検査後

散瞳薬を使った場合

散瞳しなかった場合

痛みや不快感

項目状態
痛みなし(光が当たるだけ)
散瞳薬のしみる感じ一時的に軽くしみる
検査後のまぶしさ散瞳した場合 3〜4時間
検査後の見えにくさ散瞳した場合、近くがぼやける
目の疲れ強い光を見続けるので少し疲れる

痛い検査ではない」のは確かですが、散瞳した場合 半日近く生活に影響 が出る点はあらかじめ知っておいてください。

結果の見方

眼底の所見は、画像と医師の説明で確認します。

健常な眼底

異常所見の例

最近は 眼底画像を電子カルテで保管 することが多く、過去との比較で進行を判定します。

受診頻度の目安

状況推奨頻度
健常な40歳以上数年に1回
糖尿病(網膜症なし)年1回
糖尿病(網膜症あり)3〜6か月ごと
緑内障半年〜1年ごと
AMD のフォロー1〜数か月ごと(治療中はもっと頻繁)
強度近視年1回
飛蚊症の急増・光視症症状の都度すぐ

糖尿病なら年1回、緑内障なら半年に1回」が代表的な目安です。

費用の目安

保険適用 です。3割負担の方の場合:

健康診断のオプション眼底撮影は数千円のところが多いです。

メリットとデメリット

メリット痛みなし / 多疾患を一度にチェック / 保険適用 / 全身疾患の発見にもつながる
デメリット散瞳した場合は3〜4時間生活制限 / 周辺部を見るには散瞳必要 / 強い白内障では観察しにくい

よくある質問

Q. 眼底検査は痛いですか?

A. 全く痛くありません。強い光を当てられるためまぶしいですが、目に触れることも針を刺すこともありません。「まぶしさだけ我慢すれば終わる」とご理解ください。

Q. 散瞳薬を使った日、いつから運転できますか?

A. 目薬の効果が消える 3〜4時間後 が目安です。個人差があり、半日ほど続く方もいます。当日の運転は避け、公共交通機関や送迎での来院をおすすめします。

Q. 散瞳薬の影響を早く戻す薬はありますか?

A. 戻す目薬(縮瞳薬)もありますが、通常使いません。自然回復するのを待つのが基本で、急ぐ理由がなければ自然に任せます。

Q. 健診の眼底カメラと、眼科の眼底検査、違いますか?

A. 見える範囲と精度が違います。健診カメラは中心部のみで、周辺の網膜剥離や緑内障の見落としがあります。眼科では 散瞳して全周を観察 でき、より詳しい評価が可能です。健診で「異常なし」でも、症状や心配があれば眼科を受診してください。

Q. 妊娠中でも散瞳薬は使えますか?

A. 基本的には使えますが、可能であれば避ける判断もあります。緊急性が低ければ、出産後に精密検査する選択肢もあります。担当医に妊娠中であることを必ず伝えてください。

Q. 子どもの眼底検査、何歳から受けられますか?

A. 年齢制限はありません。乳児・小児でも倒像鏡で観察できます。お子さんの場合は 動いてしまう ことが課題で、必要に応じて入院での全身麻酔下検査が選択されることもあります。

Q. 飛蚊症が増えました。眼底検査は必要?

A. 必要です。特に「急に増えた」「光がチカチカ見える」場合は、散瞳眼底検査 で網膜の周辺部を詳しく観察する必要があります。網膜裂孔・剥離の早期発見がここでできます。


眼底検査は、眼疾患の発見に最も重要な基本検査 であり、全身疾患の状態を映す貴重な検査 でもあります。痛みなく短時間で、多くの情報を得られる検査です。

散瞳薬を使った場合の半日の不便と引き換えに、緑内障・糖尿病網膜症・AMD・網膜剥離 といった重大疾患の早期発見ができることを考えれば、十分に受ける価値のある検査です。

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